リニア中央新幹線建設工事差止め訴訟原告団

私たちのこと
私たちは、JR 東海が進めるリニア中央新幹線の首都圏トンネル工事計画の真上に住む住人です。計画によると私たちが住む家の真下をシールドマシンで直径14mのトンネルを堀り、その後に強い電磁力を使ってリニア新幹線を走らせようとしています。この計画が実行されると住宅真下のトンネル工事による振動と騒音、地下に巨大トンネル空間が生まれることで地盤隆起や地下水系の破壊による地盤沈下などが発生し、その後のリニア新幹線走行による電磁波の影響から私たちの日々の暮らしがJR 東海に奪われることを恐れています。
調布市の住宅地では東京外環道のシールドマシンによる地下トンネル工事により地盤陥没が発生し、多くの住民が退去を強いられ今までの暮らしが失われました。私たちは住宅の真下を勝手にトンネルを掘ることに強い憤りを持っています。

裁判を起こした理由
私たちの家の真下にリニア新幹線のトンネルが掘られることを知ったのは JR 東海が郵便受けに投げ入れた一枚の通知書からでした。その後に何の連絡もなく説明を問い合わせると、既に説明会は開催したとのことでした。説明会の告知は住民に直接にではなく大田区広報誌で行ったとのことで、広報誌を取りよせてみると人目を避けるように小さな記事*がありました。リニアとはどこにも書かれておらず中央新幹線だけの表記だけでした。区の広報誌を隅から隅まで目を通す人は少なく、多くの住人が見逃したため改めて説明会を開くよう求めましたが既に開催しているとの理由で拒否されました。JR 東海は工事の真上に住む住民にほとんど説明をすることなく、わずかな告知で開催した一回の説明会を既成事実として大深度地下使用法の下でのトンネル工事の認可を得てしまったのです。このことがきっかけとなり私たちは JR 東海に強い不信感を抱き始めました。
大深度地下使用法とは、公共目的のためであれば国土交通大臣の認可のもとに地下40m 以深の地下空間を土地所有者の許可を得ず使用することができるという法律です。東京外環道で陥没事故が起きた直後に「大深度法は安全を担保するものでは無い」と国土交通省が答弁をしたように、地下の使用はするが安全の担保はしないという欠陥法律です。一方で民法207条には「土地の所有権は法令の制限内においてその土地の上下に及ぶ」とあり、大深度地下使用法は民法に矛盾した法律であることも明らかです。
私たちは、住宅の下の巨大リニアトンネル掘進工事の差止めを求め裁判を進めています。

①人格権の侵害
人格は人の生活のすべての面において法律上の保護を受けるべきものであり、誰もが平穏安全な生活を営む権利を持っています。私たちは家屋直下でのトンネル工事の振動による健康被害、地盤沈下による家屋の傾きから発生する日常生活の侵害、リニア開通後の電磁波による被害などから身を守るために訴訟を始めました。

②財産権の侵害
大深度地下法は土地所有者への補償をしなくても良いとする住民権利を無視した法律です。土地所有者の言い分を聞く事もなく安全の保証もせず計画を進め、工事が始まると地盤沈下から土地建物などが受ける被害、帯水層の破壊から生じる井戸の枯渇被害などが想定されます。私たちの生活の基盤である土地や家屋を守るため被害が生じる前に工事を止める必要がありました。

③地盤調査の不足
地下を掘り進めるトンネル工事の安全は充分な数のボーリング調査により担保されます。地盤地質を事前に把握しておけば、それに対応した工事ができるからです。外環道の陥没事故は特殊な地盤があったからだと事業者は説明していますが、特殊な地盤を事前に把握せず工事を進めたからです。
品川駅から多摩川までの住宅地7kmの区間の直上では少なくとも35カ所のボーリング調査が必要とされるのに、JR東海は6カ所*しか調査をしていません。充分な地盤調査もしないで進める行き当たりばったりの工事を止める必要がありました。

④説明責任の欠如
説明会の告知を住民に直接ではなく区の広報誌で済ませるなどJR東海は住民への説明を避け秘密裏に事 を進めようとする体質が見え隠れします。説明会を通し私たちは安全な工事を確信したいのにそれに向き合おうとしませんでした。
私たちには自らの安全を守るために説明を受ける権利があります。説明をことごとく避けようとするJR東海に裁判を通して根拠ある説明を求め、工事の差止めに繋げます。

裁判の現状
2025/4/20
2021年に東京地方裁判所に訴えたこの訴訟は、今までに11回の口頭弁論を重ねてきました。私たちは、私たちの住宅の下を掘り進む大深度地下トンネルが、身体権・生活権・財産権を侵害し被害を及ぼすとし、被害を予防するためにJR東海が計画するシールド工法による工事を差止めるよう訴えてきました。
立証責任の転換
権利侵害が予想される工事を止めるには、その工事が危険であり被害が及ぶことを証明する必要があります。これを、被害が生じる高度の蓋然性の立証と言います。隣の崖地の樹が倒れたら家屋に被害が及ぶので切って欲しいと訴えるなら、その樹が高い確率で倒れる可能性を証明する必要があります。訴える人には立証する責任があるのです。しかし、事故が発生すると深刻な被害が発生し、高度な科学技術を用いる原発などについては、専門知識やデータ情報を持たない原告が危険性を科学的に立証することは困難なことから、被告に対して危険が無いことを立証するよう求めることが出来ます。これを、立証責任の転換と言います。この裁判でも、シールドマシンの構造、機能、技術的知見、地質・地層などの調査データを持ち、シールド工法の安全性を主張している被告に対し、被害が発生しないことを立証するよう求めましたが、裁判所も被告もこれに応じていません。
立証責任の転換を正義、公平の観点から認める裁判例は、相当数有りますが、未だに被害者たる住民に立証責任を課す裁判所も少なからずあります。
安全性への疑問
私たちは4つの事実から、被告が主張する工事の安全性は根拠が無く、極めて疑わしいと主張しています。
① 事前調査の致命的な不足
トンネル工事を安全に進めるには充分な数のボーリンが調査が不可欠ですが、被告が行なったボーリング調査は、北品川工区8.2kmの区間の路線周辺でわずか6本しか行なっていません。路線直上ではたったの1本であることが国会答弁で判明しました。国土交通省鉄道局が監修する鉄道構造物等設計標準・同解説によるとシールドマシン工事にあたってはボーリング調査を200m間隔で行うのが一般的であるとしています。この事から被告は1300m間隔の手抜き調査で工事をすることが確実で、安全な工事の根拠がありません。しかも、土質定数としては、標準貫入試験によるN値しか公表していないのです。
② 外環道陥没事故
調布市の外環道工事現場で、気泡式シールド工法による大規模な陥没事故が発生しました。被告はこれと同じ工法を採用しています。事故の原因は礫を多く含む特殊な地盤にあったと被告は説明し、リニア区間においては外環道とは地層も違うため特殊な地盤は存在しないとしていますが、路線直上たった1本のボーリング調査で地盤の把握ができるはずがありません。しかも礫を多く含む地盤は特殊でもなく、陥没の原因はシールドマシンの気泡材が地盤を緩め、かつ、上部に抜ける際に気泡が膨張し空洞を形成したことだと考えるべきで、同じ気泡シールド工法を採用する被告が主張する安全性は信用できません。
③ 工事の著しい遅滞
2021年10月に開始した北品川工区の調査掘進は6ヶ月後に300mの掘進を終了させる計画でしたが、3年経った2024年10月の現時点で189mしか進んでおらず、3分の2ににも届いていません。添加剤の分量ミスによるカッター噴出口の目詰まりで中断し、再開後に今度はスキンプレートの凹みを発生させ中断を繰り返した事が遅れの理由です。中京圏の坂下西工区ではカッタービットの損傷で非常口の壁を突破できず、停止したまま2年間が過ぎていました。2024年9月には西尾工区トンネル工事(NATMによる施工)が当初予定より5年遅れることが明らかになりました。深部に及ぶ強風化花崗岩(マサ土)の存在がトンネルを掘った今になって判明し、重機で少しずつ掘削することになったからです。どれも事前調査の手抜きと準備不足による行き当たりばったりの工事が原因で、これでは被告に安全な工事など望めません。
④ 事故の発生
2024年に岐阜県瑞浪市大湫町地下の日吉トンネルで掘削による湧水を発生し、地下水が抜けたことで井戸が枯れ、住宅地の地盤沈下を発生させ住民の暮らしを奪っています。
地盤沈下は今年の5月頃には2cm程度でしたが、10月には4cmに拡大しています。しかも湧水の発生後に工事を中断することなく適切な対応を取らなかったことが被害を大きくさせ、地下水は今も漏れたままで解決の目処も経っていません。このように被告には安全に工事を進める能力が明らかに欠如しています。
谷本意見書
そこで、被告が主張する安全性を確かめるために、被告が採用する気泡式シールド工法の問題点をトンネル工学者の谷本親伯工学博士に出してもらい谷本意見書としてまとめ、意見書に対する被告の反論を引き出し主張の応酬を進めてきました。谷本意見書には専門的な図式も多く、意見書を基にした主張を裁判官と傍聴人により理解してもらうために映写機によるパワーポイントの使用を求めましたが、裁判長は何の理由も示さず認めませんでした。
谷本意見書は、シールド工法それ自体を否定するものではなく、本件の場合のように直径14mの大口径でしかも、深度が40m以上、対象とする地層がシールド工法が得意とする軟弱地盤ではなく、半ば固結した洪積層に適用すること、及びそれを可能にするために気泡材を使用する工法は成功例がほとんど無く、未解決の問題が多々あることを指摘するものです。
※洪積層 日本の都市部の深度20m程度までは沖積層という軟弱地盤で占められていますが、より深い地盤では2万年以上の時を経た洪積層という地層が主たるものです。
※気泡材 界面活性剤を主たる成分とする。掘削した土砂を流動化してスクリューコンベアで排出しやすくするために使用されるが、気泡の一部が地上に抜ける際に地盤に緩みや空洞を生じさせ、地盤陥没などの原因となる可能性が指摘されています。
裁判官としての当然の職務を放棄
この裁判で不幸なことは裁判官が係争を解決しようと指揮を取らず放置したままで、裁判の体を成してない事です。本来であれば裁判長は主張の応酬において反論を促したり、反論の意向を尋ねて反論させることで主張の精度を上げるべきですが、高木裁判長はそれをしません。だから双方が言いたいことを書面で伝えるだけで議論が深まりません。ここについて説明が欲しいと被告に釈明を求めても、裁判長は、答えたくなければ答えなくても良いですと被告に伝え、私たちの疑問を明らかにさせようともしません。
主張から立証へ
私たちの主張に被告は多くを反論せず、釈明を求めても答えず、被害の蓋然性を私たちが立証すべきと繰り返すのみで議論は深まりません。私たちは主張の応酬に見切りをつけ、立証の段階に入るべきとし、そのために専門家証人を法廷に呼ぶことを申請し、後続の専門家による証言も示唆しました。しかし高木裁判長はこれを却下し、いきなり結審を宣言したのです。
二度にわたる裁判官忌避申立て
裁判官は判決を下すにあたり自ら事案の理解に努め、双方の主張を十分に闘わせ、どちらの主張が正当なのかどうなのかを吟味する必要があります。そのためには、まず、相互の主張をかみ合わせ、必要な反論、再反論等を促し、その上で専門家等の証人尋問が欠かせません。にもかかわらず高木裁判長をはじめとする3名の裁判官は、主張立証を促すことは一切無く、相互の反論を促すこともなく、主張や陳述内容を説明するため映像の使用も全て禁止し、証人尋問の申し出を何の理由もなく却下して、一方的に結審を宣言したのです。
最初の忌避申立は、裁判官が事案解明のために何も為すことなく、次回期日指定以外に何もしてこなかったこと、事案解明のための私たちの当然の要望を何の理由もなく、拒否してきたことに対するものでした。二度目の忌避申立は、立証段階に移行するための最初の証人尋問を単に理由もなく拒否だけでなく、即時に審理終結を宣言し、判決言い渡し日までも決めたことです(但し、この判決日の言い渡しは忌避申立の後だったので無効になりました)。
このような裁判官に裁判をさせてはなりません。そのため、私たちはこれらの裁判官をこの裁判の職務執行から排除するよう二度目の忌避申立てをしました。
不当な判決手続き
忌避申立てが審理中の2025年2月28日東京地裁民事12部から、判決を3月27日に言い渡すと通知がありました。最高裁による忌避申立て決定が出る前の判決言い渡しは暴挙そのものなので、新たに三度目の忌避申立てをしました。
高木裁判長は3月27日 東京地裁103号法廷にて、新たな申立てを簡易却下で強行し、「リニア中央新幹線建設工事差止め請求」を棄却する判決を下しました。判決に至る経緯は不当であり、判決内容もJR東海の主張を法廷で検証することなくそのまま認めたもので受け入れられるものではなく、4月11日 東京高等裁判所に控訴しました。

訴状
2021/07/19
原告準備書面
2024/10/02
2024/09/30
2024/07/11
2023/06/12
2023/04/06
2022/12
2022/09/27
2022/05/28
2022/03/16
2022/03/22
2022/01
2021/10/21
被告準備書面
2024/09/30
2023/03/24
2022/09/16
2022/05/27
2021/12/24
意見書
判決書
2025/03/27
控訴理由書
2025/06/10

ニュース
2025年4月14日 6:00:00
2024年10月8日に提訴した高木裁判官ら3名の裁判官忌避申し立ての特別抗告は、 4月14日最高裁にて棄却されました。
2025年4月11日 6:00:00
4月11日 本裁判を東京高等裁判所に控訴しました。
2025年3月27日 7:30:00
3月27日 東京地裁103号法廷にて、高木裁判長は三度目の忌避申し立てを簡易却下し原告の請求を棄却する判決を下しました。
2025年3月26日 9:30:00
3月26日 裁判官忌避の最高裁決定が出ていないにも拘らず、判決を下そうとする高木裁判官らに三度目となる忌避申し立てをしました。
2024年10月8日 9:00:00
10月8日東京地裁103号法廷にて、充分な審議もせず結審を宣言した高木裁判長ら3名の裁判官に忌避申立てをしました。
2024年3月28日 6:00:00
2023年12月22日の東京高等裁判所の裁判官忌避申立て却下決定への抗告棄却決定に対し、最高裁判所に特別抗告をしましたが、本年3月27日、特別抗告は棄却されました。
2023年11月16日 5:00:00
11月7日東京地方裁判所により裁判官忌避申立てが却下されました。11月15日この決定を不服とし東京高等裁判所に抗告の提起をしました。
2023年10月3日 5:00:00
10月3日東京地裁103号法廷にて、公平な裁判の指揮に問題のある高木裁判長ら3名の裁判官の忌避申立てをしました。
2023年6月22日 5:00:00
私たちを除く8名の原告は訴訟方針の違いを理由に代理人の梶山正三弁護士・樋渡俊一弁護士の両名を2023年6月22日に解任しました。このことにより当原告団は朝倉正幸を代表とする16名の原告団になりました。